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子孫の自宅で見つかった塙保己一の奉納刀、記念館で特別展示

塙保己一記念館に展示されている「塙保己一の奉納刀」

塙保己一記念館に展示されている「塙保己一の奉納刀」

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 本庄の「アスピアこだま」(本庄市児玉町八幡山)内にある「塙保己一記念館」(TEL 0495-72-6032)で5月29日まで、「塙保己一(はなわほきいち)の奉納刀(ほうのうがたな)」を特別展示している。

アスピアこだま内の「塙保己一記念館」

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 昨年12月、毎月1回開かれている「保己一出世くらぶ」の会議に参加した子孫の荻野悦一(よしかず)さんに、「温故学会」(東京都渋谷区)理事長の齊藤幸一さんが「塙保己一に関する遺品がないか」と質問したところ、「何かあるかもしれない」と答えた。早速、本庄市の文化財保護課の担当者が自宅に赴き、1783(天明3)年、塙保己一が検校(けんぎょう)に就任したときに奉納した「飾り太刀」を確認したという。

 「1937(昭和12)年刊行の『塙検校遺物集』にはっきりと稲荷大明神(現在の御霊(ごれい)稲荷神社=児玉町保木野)に奉納されたという記載があるが、その行方は誰も知らなかった」と話す齊藤さん。「時代は不明だが、宮司から荻野家に渡ったと思われる」とも。

 同市では今年に入り、特別展示を決めた。齊藤さんは「本庄市の登録有形文化財に指定されるほどの発見」と話す。温故学会は1910(明治42)年、保己一の偉業顕彰の目的から渋沢栄一らにより設立され、現在「群書類従」版木の保管や各種啓発事業を行っている。

 同館に掲出されている解説パネルには「塙保己一の奉納刀は、糸巻き太刀拵えと呼ばれる形式の飾太刀(かざりたち)。柄(つか)の木部全体と鞘(さや)の鯉口(こいくち)に近い部分を錦で包み、その上を絹の組みひもで菱(ひし)に巻かれている。刀身がなく、鞘と柄を固定するための短い鉄芯が入っていることも特徴。製作当初は、金銅の飾り金具や朱色の錦で彩られた簡素ながらも華やかな飾太刀であったことが伺える」などと記されている。「この飾太刀が奉納された天明3年は、塙保己一が検校へ昇進した年。検校昇進を祝して奉納したとも考えられる」とも。

 開館時間は9時~16時30分。入館無料。月曜休館(休日の場合は翌日)。

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