本庄市銀座通り周辺で7月7日、6カ所の空き店舗などを芸術作品の展示空間にするプロジェクト「静脈街区」が開かれた。
「movie theater THE SPOT」で行われた自由律映画祭での舞台あいさつ
早稲田大学の田島史也さんと武蔵野美術大学の大加眞資さんらが企画した同イベント。田島さんは「全身を巡り酸素が枯渇した血液に新たな酸素が与えられるように、一時代を終え役割を失った建物に新たな意味が与えられるように、との思いから『2つの静脈を結ぶ場所』として名付けた」と話す。
会場は、旧さいとう化粧品店(築56年)、旧大菊(同80年=推定)、Ayatori perch(同136年)、PERSONAL+TRAINING GYM、旧第七電気商会(同97年)、movie theater THE SPOT(同100年)の6カ所。テーマは「暮らしとアートの共存」と「美術系学生の活躍の場の創出」。6カ所の展示会場に延べ23人の作家の作品を展示した。「THE SPOT」では「自由律映画祭」と題して、「Between you&me.」「にわとりはじめてとやにつく」「二人して捧げる賛辞」「ボウルミーツガール」の4作品を上映した。
大加さんは「一つの場所に展示物が詰め込まれているという形式は、整然と並べられた美術館では得られない、日常の延長としての展示が可能になる」と話す。
田島さん、大加さんらと共に実行委員を務める武蔵野美術大学のマスダゲンタさんは、同市の印象について、「空き店舗だった所に既に新しい店が入っているところもあり、新しい息吹を感じた」と振り返る。「本庄市は郊外でも都会でもなく、バランスがよく取れているまち」とも。
今回のイベントに応募して参加した多摩美術大学1年の岩切海星さんは「本庄市内を散歩したり取材したりする中で、(感銘を受けた)建物の独特の色や形を描いた。新しいものと古いものがランダムに配置されている本庄の街並みを新鮮に感じた」と話す。
田島さんらは「いいイベントになった。これからのアーティストの活躍に期待してほしい」と呼びかける。