特集

【地域めぐりレポート】児玉地区の養蚕の歴史を知ろう!~農村ミュージアム「カネ本蔵」~

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農村ミュージアム「カネ本蔵」

 

 今回の特集は、本庄市児玉地区にある、農村ミュージアム「カネ本蔵」。<企画:埼玉県北部地域振興センター本庄事務所>

 インタビュアーは埼玉県北部地域振興センター本庄事務所の原葵衣さん。「地域めぐりレポート」の一環として、地域の魅力を伝える活動をしている。

 農村ミュージアム「カネ本蔵」を事業として立ち上げたのは、NPOネットワークひがしこだいらの代表の清水さん。この蔵の持ち主は根岸敬明さん。時代を経て蔵も痛み始め、蔵の保管について考えていたところ清水さんより農村ミュージアムのお話をいただいたそうだ。

養蚕業のしくみを学ぶ

 蔵は1912(明治45)年に藤岡市から移築されたそうで、「高山社」の116分教場の一つ。高山社とは、養蚕業の研究所・教育機関。全盛期には社員が4万人を超えた。
 この農村ミュージアムでは、主に富岡製糸場と児玉地区の養蚕業の関係について知ることのできる資料を展示している。

 ミュージアムに入ると、蚕を桑の上に落とすための、掃き立てと呼ばれる道具や、大正明治に使った道具、蚕が桑を食べている写真などが飾られている。

 蚕は5回脱皮して大きくなるそうで、その成長に合わせた様々な道具が必要だったようだ。道具はすべて小平地区で使われていたものが展示されており、根岸さんの蔵に保管されていたものも多数あるそうだ。

 蚕の世話は一つ一つが手作業。幼虫の世話も1匹ずつ、繭になってからも一つずつ手をかけなければいけないそうだ。


蚕の習性を利用して考えられた道具も、とても興味深い。蚕の成長から出荷までの一連の流れを展示で知ることができる。

児玉地区と養蚕の発展の歴史

 富岡製糸場、アキヒラ製糸場、高山社根岸分教所についての資料も数多く残されている。児玉郡には4つ分教所があり、分教所で養蚕を学ぶ多くの人々が生活をしていた。地元の繭を、地元で製糸することで地域の発展へと繋がり、たくさんの養蚕の関連会社ができた。

 児玉地区には不動滝という滝があり、そこで氷を作り種を保管していた。養蚕業に適した土地でもあったようだ。換気扇がなかった当時、養蚕に適している高窓や、越屋根の家が作られ、現在でも9件ほど高窓のついた家が残っている。

原:高窓という作りは、どういう用途で作られているのですか?
根岸:下で火を焚くと、上に熱気が溜まる。それを出すために高窓が作られました。今で言う換気扇の役割ですね。
原:それは蚕にとって必要なことなんですね。
根岸:そうですね。蚕はとてもきれいな空気を好み、湿気を好まない。いい環境の中でないと病気になります。
原:蚕は、とても繊細なんですね。
根岸:だから天の虫と書くんですね~。

 当時の半纏や、シルク(絹)も残っている。80年くらい前のものだか、根岸さんの祖父がとても大切に保管されていたため、とても美しい形で展示されている。知事の来訪時には「来て帰りたいくらいだ」と興味を持ってくれたそうだ。

 別のコーナーには、渋沢栄一に関連した資料等も残っている。貴重な資料の中には、論語と算盤なども見ることができる。当時、養蚕業の現場の技術だけではなく、論語や算盤を用いた経営への教育にも熱心だったことがわかる。

当時の貴重な古道具も展示

 糸車に糸を巻き付けた、おしゃれなランプも展示してある。糸車は「座繰り」と言い、糸を巻き付けていく道具。温かい光を放ち和ませてくれる古道具を利用した粋な雑貨だ。

 養蚕関係とは別に、家紋が描かれた、豪華な漆器ある。これは、偉大な親族が来訪するときのために作られたと聞いているそうだ。根岸さんの曽祖父の母は、世界遺産に登録されている高山社を創設した高山長五郎と、競進社を開設した木村九蔵の妹。当時使われていた貴重な漆器を、大切に保管されていたそうだ。偉大な親族を持つ根岸さんの蔵には、曽祖父、根岸担ニさんの写真やたくさんの貴重な資料が残されている。


 このように、たくさんの資料を見ることで、児玉地域が発展したのは養蚕のおかげだということが分かる。戦後、なかなか仕事がない時代、短期間で換金できる養蚕はみるみる発展した。

非公開の2階へ

 公開はしていない2階へも案内していただいた。

 壮大な天井の梁がある2階は、1912(明治45)年と棟木に記されている。2階はさまざまな道具の置かれている倉庫になっており、馬に付けていた鞍や、嫁入りに使われた道具など、貴重な道具がたくさん保管されている。こちらもとても興味深いものが多い。

 

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農村ミュージアム「カネ本蔵」

お問い合わせは、

本庄市観光農業センター 

埼玉県本庄市児玉町小平653

0495-72-6742 ※木曜定休

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