
本庄・児玉の曹洞宗・長泉寺(本庄市児玉町高柳)境内にあり、「骨波田(こつはた)の藤」と呼ばれているムラサキナガフジが現在、見頃を迎えている。
約30年ぶりに訪れた本庄・長泉寺で「骨波田の藤」を鑑賞する群馬県太田市在住の持田進一さん
本堂前の両側に一対大きく広がって棚を作り、総棚面積は2500平方メートル、花房は1~1.5メートル。白とピンク、濃い藤色、淡い藤色の4色の花が咲く。樹齢約650年といわれ、1959(昭和34)年、埼玉県指定天然記念物になった。
日本植物保護推進会議が1991(平成3)年5月に行った調査によると、骨波田の藤の価値について「株周囲は国の特別指定(一般の国指定文化財の国宝に相当)の牛島のフジに次ぐ。他の国県指定よりはるかに大きい。枝の被覆面積は国指定の熊野のフジに迫り、国の特別指定の牛島のフジよりはるかに広がりを見せている。花房の長さは、国の特別指定の牛島のフジに及ばないが、国指定の黒木のフジや、静岡県指定の林泉寺のフジより花房は長い。花色は美しい、樹勢は良好」と所見を述べ、最後に「天然記念物保護保存への関心は、他のいずれよりも深く、しかも本樹は国指定天然記念物のフジに何ら遜色なく、比肩し得る物件であると思考する」と結んでいる。
藤の花が咲く時期には境内に入るために入園料が必要となる同寺。今年は4月26日から。住職の閑野徳満さんは「今年、紫と白とピンクの花がほとんど同時に咲いた」と話す。
閑野さんは「寺は約550年前の室町時代に開かれたが、藤棚はそれよりも100年前からあった」と話す。同寺は修行道場といわれ、奥院が「修業の場」だったという。寺の所在地が「高柳字骨波田」という地名で、「骨波田」は、蝦夷(えぞ)討伐に向かう途中に立ち寄った坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が退治した大蛇の骨にまつわる伝説に由来するという。
群馬県太田市在住の会社員・持田進一さんは「子どもの頃に一度、家族で来た記憶があるが、約30年ぶりに訪れた」と話す。
開園時間は8時~18時。期間限定の入園料は、中学生以上=300~600円(開花状況により変動)、小学生以下無料。開園期間は開花状況次第。