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上里町役場町民ホールで「西崎キク特別展」 紙芝居演示やかるた展示も

「西崎キク特別展」で展示中の模型飛行機「白菊号」

「西崎キク特別展」で展示中の模型飛行機「白菊号」

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 「海外飛行90周年記念 西崎キク特別展~大空と大地を駆けぬけた生涯をたどる~」が1月17日、上里町役場1階の町民ホールで始まった。

西崎キクのおいの斉藤建一さんとめいの井上美千代さん兄妹

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 キクは日本人女性で初めて海外飛行した飛行士。1912(大正元)年11月、松本佐平、タキの次女として生まれたキクは1929(昭和4)年埼玉女子師範学校・2年制を卒業し、16歳で同村立神保原尋常小学校(当時)の教員になった。同年秋に、児童らとサイクリングに出かけたキクは、利根川沿いにあった尾島飛行場で飛行機のラストフライトを目にした。そのことが「空へ舞い上がらせる導火線になった」(本人の表現)。キクは飛行士になる夢を抱き、教員を辞めて1931(昭和6)年、東京・深川の第一飛行学校に入学。1933(昭和8)年8月、二等飛行操縦士試験に合格し、日本人女性最初の水上飛行機操縦士になった。同年10月には生まれ故郷に訪問飛行した。

 1934(昭和9)年6月に陸上飛行操縦士免許を取得したキクは同年10月、日本と満州国の友好などを目的として「満州親善飛行」を計画した。キクはサルムソン2A2型機「白菊号」を操縦して羽田飛行場から満州国の新京に向け飛び立った。羽田~新京間2440キロを14日間で飛行。途中、不時着というアクシデントがあったが、11月4日、新京に到着し、日本人女性初の海外飛行が実現した。

 キクの海外飛行90周年を記念して開く同展では、拡大した写真や新聞記事、説明文などから成る約70枚のパネルでキクの生涯を振り返る。展示資料の大部分は同町教育委員会が所蔵する。

 会場内では、キクに関する顕彰活動を行っている町民らのグループ「上里町アドバイザー紙芝居部」が「郷土の偉人 西崎キクものがたり」というタイトルの紙芝居を作り、演示する。同グループは昨年、46首から成る「西崎キクかるた」も作った。展示中の同かるたでは「海外へ 初飛行の 白菊号」「雲のじゅうたん NHKドラマで モデルの一人となり」「利根川に 感謝のビラをまく 郷土訪問飛行」「のっぺと呼ばれる 酸性土壌で スイカやうどで成功す」「小さい時から 高いところが 好きな女の子」などと詠んでいる。

 1月19日の紙芝居演示後に、キクのおいの斉藤建一さんは「松本キクの生涯を見ると、戦争がどんなに悲惨なものだったか想像に難くない。女性飛行士のことが注目されているが、終戦後の(キクの活動にも)目を向けてほしい」と話し、(農業技術者として)スイカやウドなどの栽培に力を入れたり、同町教育委員会で教育者として活動したりしたことなどについて話した。めいの井上美千代さんは「叔母は私にとって憧れの存在だった。活発な叔母で、わが家に来てはしごを使って屋根を修理したり、植木を剪定(せんてい)したりしてくれた。叔母は、空が好き、高いところが平気だと思った」と振り返った。

 展示会場で同町アドバイザー紙芝居部による大型紙芝居の演示を行っている。今後は、1月22日、26日(いずれも10時~、14時~)に演示予定。

 開催時間は9時~17時(27日は15時まで)。1月27日まで。

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