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旧本庄仲町郵便局跡にキャップ工房&ショップ「ワンダーファブリック」

「W@nder Fabric」の今井俊之さん

「W@nder Fabric」の今井俊之さん

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 キャップをハンドメードで製造する「W@nder Fabric(ワンダーファブリック)」が工房&ショップを本庄・旧中山道沿いの「旧本庄仲町郵便局」跡(本庄市中央1)に移転オープンして、6月21日で3カ月がたった。

郵便局の面影が残る「W@nder Fabric」の店内

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 「日本近代郵便の父」と呼ばれている前島密の依頼により1872(明治5)年、諸井泉衛(せんえい)が自宅に「本庄郵便取扱所」を開設。その後、諸井家により代々受け継がれ、建物も変化を続け、1934(昭和9)年、諸井恒平によって建築された建物が今の「旧本庄仲町郵便局」で、1998(平成10)年10月、同建物が「国登録有形文化財」になった。同郵便局は「スーパービバホーム本庄店」(中央2)内に2019年12月2日、「ビバモール本庄郵便局」として移転し、旧郵便局は閉鎖された。

 上里町忍保出身の今井俊之さんは、本庄市内の高校を卒業後、東京でファッションを学び、2016(平成28)年、都内でファッションブランド「ワンダーファブリック」を立ち上げ、オンラインストアをオープンした。和の雰囲気に魅了された今井さんは、ヘッドウエアに日本の生地を取り入れることで表現を追求したという。「ワンダーファブリックには、海外の人に、日本の生地や織物(ファブリック)の素晴らしさを実感し驚嘆して(ワンダー)ほしい、という思いがある」とも。

 元々、ネットを使って海外にも商品を販売していた今井さんは場所に依存せずに活動してきた。2人目の子どもが誕生したことをきっかけに帰郷することを決め、本庄市内に2018(平成30)年、自社工房を立ち上げた。

 コロナ禍の影響を受けていた頃、今井さんは旧本庄仲町郵便局内覧の機会を得た。「中に入った瞬間、『かっこいい』と感じた。タイムスリップした感じだった」と振り返る。諸井家と賃貸契約を結んだ今井さんは、友人の助けを借りながら改装を行った。「自分でできることは全て手がけ、ワクワク感にあふれながら作業を進めた」という。「中学生の頃から持っていたものづくりへの憧れが、歴史を感じるこの場所でさらに沸き起こってきた」とも。

 日本の伝統織物を使ったキャップを手作りしている今井さん。着物などの生地を手作業で解体し、クリーニングとアイロンがけを行うなど、縫製に入る前の作業に多くの時間を要するという。現在、平日は朝早くから14時までキャップ製造に集中し、その後、店を開ける。

 近所で埼玉県内最古の企業「戸谷八商店」(中央1)を経営する戸谷充宏社長は「日本初の製帽会社を創業した渋沢栄一翁と縁の深い諸井家発祥の地で、今井さんが伝統生地を活用したキャップの製造販売の拠点を作ってくれてうれしい」と話す。

 今井さんは「日本の伝統を支えてきた人々や織元さんへの敬意を持ちつつ、海外での認知をさらに高められることを目指したい。今後はアート性の高い作品にも挑戦したい」と意気込みを見せる。「この地に根付く歴史や伝統をさらに調査し、繭市場や渋沢栄一の功績にも触れ、さらなる情報発信を図りたい」とも。

 営業時間は14時~17時ごろ。土曜・日曜・祝日定休。

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