埼玉・上里町は5月12日、ジャポニカ種ウナギの養殖や加工・販売を行う平沼水産(さいたま市浦和区)と包括連携協定を締結した。
同町役場で行われた締結式では、「地産地消の推進、地場産品の振興・販路拡大・販売促進や地域経済の活性化」「地域ブランドの創出」「食と健康に着目した産業、観光振興」等に関して、相互に連携することを確認した。
同社は昨年12月、同町勅使河原に1281坪の事業用地を取得。50トン水槽6基による養殖エリアでは9万尾以上の生産を計画している。水産養殖と水耕栽培を組み合わせた「アクアポニックス」のシステムを構築。将来的には「水を捨てない、換えない、薬品や肥料を必要としない」仕組みで、完全閉鎖型の陸上養殖の実現を目指すという。養殖システムはサイエンス・イノベーション(さいたま市北区)と業務提携。
敷地内では、ウナギの研究を行う施設「うな研ラボ」を立ち上げ、同町の特産品や昆虫を活用した代替飼料の開発を行うとともに、完全養殖実現に向けた知見収集と研究開発を予定。
山下博一上里町長は「地域資源を活用した産業及び観光の振興や、ウナギの食文化の普及・啓発、工場見学などによる教育・生涯学習の推進をはじめ幅広い分野で連携し、『食と健康』に着目した地域の活性化、豊かな地域社会の形成・発展を目指したい」と意欲を示した。
平沼貴之社長は「我々の活動と上里町の取り組みを連携させながら、さまざまな地域課題に対応し、魅力あるまちづくりや地域に暮らす皆さまの役に立ちたい」と話した。
関越自動車道下り線の上里サービスエリアでは5月1日より、「うなぎ玄米焼きおにぎり」をキッチンカーで販売。上里産かんな清流米「彩のきずな」を使った玄米焼きおにぎりは「天神農園」(嘉美)と共同開発。開始1週間で約1500個販売したという。
5月下旬から養殖施設の建設に着工。来夏の「丑(うし)の日」から商品として出荷予定。施設完成後、本社を同町に移転する予定。