埼玉県美里町で新たな特産品を目指して栽培に取り組んでいる「エゴマ」の収穫作業が始まっている。
同町では、農家の高齢化が進む中、耕作されなくなった畑を活用して新たな特産品を作ろうと、6年前から健康食材として知られているエゴマの栽培に力を入れてきた。
エゴマはシソ科の植物で、葉や茎に特有の香りがあり、栽培期間中にイノシシやシカなどの食害を受けにくいという特徴がある。エゴマの実を搾って作るエゴマ油にはオメガ3脂肪酸を多く含む。
町内の木部地区で10月15日、「美里EGOMAファーム」のメンバー8人が、およそ1メートル50センチに育った木を根元からはさみで切り取り、木の先端に実ったエゴマの穂をその場に設置した金網台にたたきつけて、実を取る「脱穀」作業を行った。
刈り取った木を数本束ねて金網にたたきつけた穂からはパラパラと、エゴマの実が下に敷いてあるシートの上に落ちる。こうして得られたエゴマの実は乾燥し、さらに水洗いを何度も繰り返して不純物を取り除く作業を行った後にエゴマ油として搾られる。
今年の作柄としては、エゴマの茎が成長する初夏に日照が良く得られたのと、収穫時期に台風被害が無かったことなどから、同地区で700キロ、町全体では1トンの収穫量を見込んでいる。「町で1トンの収穫ができれば、6年前に栽培を始めてから初めて」という。
「美里EGOMAファーム」の森田實副会長は「今年は良いエゴマが収穫できた。これからもメンバーが一丸となって、地域・町の活性化に向けて頑張っていきたい」と話す。
同町で生産しているエゴマ油」は透明感と色が特徴。黄色く透き通った油は地元の直売所で販売するほか、ふるさと納税の返礼品になっている。町では町内の事業者と協力してエゴマ油や実を使った菓子やアイスクリームなどの加工品作りにも取り組んでいる。